USJでは遂に『ユニバーサル・スペクタクル・ナイトパレード 〜ベスト・オブ・ハリウッド〜』が始まり、筆者もグランドオープン日の5月17日に鑑賞してまいりました。
過去や他のテーマパークのナイトパレードにおいて今まで見たことがないような全く新しいパレードになっていて、ハリウッド映画の要素がふんだんに盛り込まれています。
「世界最高のエンターテイメントを集めたセレクトショップ」への方向を向いたUSJでは、クールジャパンなど映画以外の要素を多く取り入れていましたが、今回のパレードは映画関連のみで構成。昔からのUSJファンとしては「これぞUSJ!」と思わせてくれるような内容です。(もちろんセレクトショップとしてのUSJも面白くて良いんですけどね。)
また、見えないところで最新の技術が使われていて、何度も鑑賞する価値があると感じました。
初日の鑑賞レポート記事を書きましたので、よろしければご覧ください!
【初日最速レポ】USJ『ユニバーサル・スペクタクル・ナイトパレード』が凄すぎた!!感想・写真45枚大公開!前置きが長くなりましたが、今回はタイトルの通り、USJにあるアトラクションに関連する映画の制作・配給会社について調査してみたいと思います。
さて、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)には現在約30もの常設アトラクションがあり、その多くが映画(特にハリウッド映画)を基にして作られています。
「ユニバーサル・スタジオ」と言うほどですから、ユニバーサル映画が制作・配給する映画が基になっているかと言うと、全部がそういうわけではないんです。
ということで今回はアトラクションに関連する映画の制作・配給会社を調べて、色々な権利関係を覗いてみようという企画です。
少々マニアックな内容となりますが、意外と今後のUSJに関係する話にもなってくるかもしれませんので、最後までお付き合いいただければと思います!
アメリカのメディアを知ろう
映画の権利関係について語るには、まずアメリカの大手メディアと映画会社について知っておく必要があります。(既にご存知の方は飛ばしてくださいね)
アメリカの「5大メディア・コングロマリット」と「ビッグ6」
アメリカには「5大メディア・コングロマリット」と言われるものが存在します。(コングロマリットとは、簡単に言うと多種多様な事業を営む複合企業のことです。日本でいうとソニーや日立などがそれにあたると言えます。日本のメディア・コングロマリットはフジサンケイグループなどがあります。)
その5社は、
- コムキャスト
- ウォルト・ディズニー・カンパニー
- タイム・ワーナー
- ニューズ・コーポレーション
- ナショナル・アミューズメント(バイアコムとCBSコーポレーション)
から成っており、日本のメディアとは比べ物にならないくらい大きな規模を誇っています。
また、ハリウッドの映画会社において「ビッグ6」と呼ばれる6社が存在し、
- ユニバーサル・スタジオ(→コムキャスト)
- パラマウント・ピクチャーズ(→バイアコム)
- ソニー・ピクチャーズ
- ワーナー・ブラザーズ(→タイム・ワーナー)
- ウォルト・ディズニー・カンパニー
- 20世紀フォックス
が名を連ねます。ハリウッド映画の多くが上の6社のどこかで制作・配給されています。
USJはどこに属する?
ご存知の方も多いと思いますが、USJは現在、「コムキャスト」の子会社「NBCユニバーサル」の傘下にあります。
NBCユニバーサルは傘下に「ユニバーサル・スタジオ」を有し、その中の一部門である「ユニバーサル・パークス&リゾーツ」がアメリカのユニバーサル・スタジオ・テーマパークを運営しています。(シンガポールはライセンス契約)
現在、株式会社ユー・エス・ジェイの社長であるジャン・ルイ・ボニエ氏はそのユニバーサル・パークス&リゾーツ出身です。
ちなみに東京ディズニーリゾートを運営する株式会社オリエンタルランドは、ウォルト・ディズニー・カンパニーの子会社とライセンス契約を結んでいます。
少しややこしい話になってしまいましたが、USJは「コムキャスト」傘下、TDRは「ウォルト・ディズニー・カンパニー」とライセンス契約、としておけば大まかにはOKです。
本題の前に例を挙げてみる
さて、ハリウッド映画を始め、有名な映画の多くが上の5大メディア・コングロマリットやビッグ6と関係しています。
USJのアトラクション関連の話は後でしますので、2つほどそれに関係のない例を挙げてみます。
映画『ミッション・インポッシブル』の配給は「パラマウント・ピクチャーズ」。そのパラマウントの母体(主要株主)は「ナショナル・アミューズメント」の「バイアコム」です。
映画『アバター』の制作・配給会社である「20世紀フォックス」の現在の親会社は「21世紀フォックス」。21世紀フォックスは2013年、「ニューズ・コーポレーション」から分社して誕生したのですが、2017年12月にディズニーによって買収されることが発表されました。
(ああ、ややこしい……。)
今回は、こんな感じのことをUSJのアトラクション関連映画でやっていくということですね。
意外と面白いものが見えてくるんです。
USJの映画関連アトラクション
それでは、USJにある映画関連のアトラクションを列挙していきます。
- シュレック 4-D アドベンチャー
- ユニバーサル・モンスター・ライブ・ロックンロール・ショー
- アメージング・アドベンチャー・オブ・スパイダーマン・ザ・ライド 4K3D
- ターミネーター 2:3-D
- バックドラフト
- ザ・フライング・ダイナソー
- ジュラシック・パーク・ザ・ライド
- ジョーズ
- ウォーターワールド
- ミニオン・ハチャメチャ・ライド
- ミニオン・ハチャメチャ・アイス(←2018年6月30日オープン)
- ハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニー
- フライト・オブ・ザ・ヒッポグリフ
- ホグワーツ・キャッスルウォーク
冒頭で少し書いたように「世界最高のエンターテイメントを集めたセレクトショップ」となったUSJ。
昔からのUSJファンからすると「映画関連が少ない!」と思われる方も多いかもしれませんが、上のアトラクションの数を見ると結構多いような気がします。(ただ、クールジャパンやワンピースなどの日本のコンテンツの主張が激しいと感じることはありますね…)
アトラクション関連映画と制作・配給会社
ようやく、ここからが今回の本題と言える部分になります。
先ほど列挙したアトラクションの基となっている映画もしくは関連のある映画と、その制作・配給会社を上から順に調べていきます。
『シュレック』
(現在はクールジャパンなどのシーズナル・イベントのためほとんど見ることができなくなっている)『シュレック 4-D アドベンチャー』の基となったこの映画は2001年公開。
制作・配給会社は「ドリームワークス」です。
2001年の公開当時、ドリームワークスは独立して運営されており、どこのメディアにも属していませんでしたが、現在は「アンブリン・パートナーズ」の一部門となっており、アンブリン・パートナーズの所有者に「ユニバーサル・スタジオ」が名を連ねています。
ややこしいですが、少なくともシュレックはユニバーサル映画には分類できないと言えるでしょう。
クラシック・モンスターと『ビートルジュース』
アトラクション『ユニバーサル・モンスター・ライブ・ロックンロール・ショー』(以下『ユニモン』と略)の原作と言うものは明確には存在しませんが、調べてみたところ以下の映画に登場した人物(?)が集まってショーになっています。
クラシック・モンスターと呼ばれる映画『フランケンシュタインの花嫁』や『魔人ドラキュラ』、『狼男』などは1930〜40年台の公開で、制作はユニバーサル映画。それぞれのタイトルから、ユニモンにフランク、ブライド、ドラック、ウルフィーが登場する筋が通りますね。
映画『ビートルジュース』は1988年公開、配給は「ワーナー・ブラザーズ」(タイム・ワーナーの傘下)でした。
ユニモンはユニバーサル映画が基になっていると言ってもよさそうです。
『スパイダーマン』シリーズ
『アメージング・アドベンチャー・オブ・スパイダーマン・ザ・ライド 4K3D』はその名の通り映画『スパイダーマン』シリーズが基になっています。
スパイダーマンといえば原作は映画ではなくアメコミ(アメリカン・コミックス)が原作で、出版社はご存知「マーベル・コミックス」です。
映画としては2002年に初公開、以降『スパイダーマン』シリーズの映画の配給は「コロンビア・ピクチャーズ」(コロンビアについては次の『ターミネーター』で詳しく触れています)となっています。
映画の制作にはもちろんマーベルも参加していますが、2009年にマーベルは「ウォルト・ディズニー・カンパニー」に買収されることが発表。
スパイダーマンは今やユニバーサル映画どころか、ディズニー傘下のコミック・映画になっているんです。
『ターミネーター2』
タイトルの通り、アトラクション『ターミネーター 2:3-D』の基になった映画です。
1991年公開で、配給会社は「トライスター・ピクチャーズ」。
この会社は「コロンビア・ピクチャーズ」の子会社で、現在は「ソニー・ピクチャーズ・エンターテイメント」の傘下にあります。意外なことに、ターミネーターはユニバーサル映画ではなかったんです。
ただ、全く関係がなかったのかというとそうでもなく、コロンビア・ピクチャーズの前身を設立(1920年)したのはユニバーサル社の社員だったそうです。
ちなみにこの後の作品である『ターミネーター3』と『4』には「ワーナー・ブラザーズ」が、2015年公開の『ターミネーター:新起動/ジェニシス』には「パラマウント・ピクチャーズ」が関わってきているなど、非常にややこしくなっているので、これ以上は書かないことにします。
『バックドラフト』
1991年に公開された映画『バックドラフト』はそのままアトラクション『バックドラフト』の基になっています。
映画の配給は「ユニバーサル・ピクチャーズ」で、正真正銘のユニバーサル映画です。
アトラクションの内容が映画の撮影現場を見学するというものになっているので、これぞ「ユニバーサル・スタジオ」と言えますね。
『ジュラシック・パーク』シリーズ
アトラクション『ジュラシック・パーク・ザ・ライド』と『ザ・フライング・ダイナソー』の基になっている映画『ジュラシック・パーク』シリーズ。
1990年出版のマイケル・クライトンの小説を1993年にスピルバーグ監督が映画化。以降『ロスト・ワールド』、『ジュラシック・パークⅢ』、『ジュラシック・ワールド』と続編が公開されており、配給は一貫して「ユニバーサル・ピクチャーズ」です。
2018年にはさらなる続編『ジュラシック・ワールド/炎の王国』が、日本では7月13日に公開されます。これは注目ですね。
ということで、『ジュラシック・パーク』シリーズもユニバーサル映画です。
『ジョーズ』
アトラクション『ジョーズ』の基となっている映画『ジョーズ』は1975年公開。配給は「ユニバーサル・ピクチャーズ」で、正真正銘のユニバーサル映画です。
ちなみにジョーズも小説が原作、スピルバーグ監督が映画化という形になっています。
『ウォーターワールド』
2018年6月1日よりリニューアルオープンとなるUSJの『ウォーターワールド』。
このアトラクションの基の映画『ウォーターワールド』は1995年公開で、「ユニバーサル・ピクチャーズ」の配給です。こちらも正真正銘のユニバーサル映画です。
『怪盗グルー』シリーズ(ミニオンズ)
こちらはアトラクションの基というよりもUSJの『ミニオン・パーク』全体に関係しています。
ミニオンが初めて登場したのは2010年公開の映画『怪盗グルーの月泥棒』。その後『怪盗グルーのミニオン危機一髪』、『怪盗グルーのミニオン大脱走』、そしてスピンオフとして『ミニオンズ』が公開。
制作はユニバーサル・スタジオ子会社の「イルミネーション・エンターテイメント」、配給は「ユニバーサル・ピクチャーズ」で、正真正銘のユニバーサル映画です。
今やミニオンはユニバーサルの代表的なキャラクターになっていますね。新しいナイトパレードにも登場しています。
『ハリー・ポッター』シリーズ
こちらもアトラクションの基というより、USJの『ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター』全体に関係していますね。
1997年にJ.K.ローリングによって『ハリー・ポッターと賢者の石』の小説が出版、2001年にはそれが映画化。それ以降『死の秘宝』まで小説は第7巻出版、映画は全8作制作されました。
『ハリー・ポッター』シリーズの配給は一貫して「ワーナー・ブラザース」。USJであれほど大きな存在感を発揮するハリー・ポッターもユニバーサル映画ではないんですね。
なぜUSJにユニバーサル系以外の映画アトラクションがあるの?
上で調べたものをまとめると、ユニバーサル映画と言えるのは
- クラシック・モンスター系
- 『バックドラフト』
- 『ジュラシック・パーク』シリーズ
- 『ジョーズ』
- 『ウォーターワールド』
- 『怪盗グルー』シリーズ(ミニオンズ)
で、ユニバーサル以外の映画は
- 『シュレック』
- 『ビートルジュース』
- 『スパイダーマン』シリーズ
- 『ターミネーター2』
- 『ハリー・ポッター』シリーズ
となります。丁度半々くらいです。
さてここで、『ユニバーサル・スタジオ・ジャパン』という名のテーマパークに、なぜ「ワーナー・ブラザーズ」などユニバーサル以外の映画アトラクションがあるのかという疑問が生じます。
その答えは簡単で、USJには「ハリウッド映画のテーマパーク」というコンセプトが根底にあるからです。
基本的にはハリウッド映画系のアトラクション・イベント等でコンテンツを充実させたい。そういう時にユニバーサル映画ではない映画でも、ライセンス契約を結びアトラクションに使っているということです。
USJにユニバーサル以外の映画関連アトラクションがあっても何ら不思議なことではないんですね。
まとめ
今回はUSJのアトラクションに関連する映画とその制作・配給会社について調べてみました。
結果、USJにある常設映画関連アトラクションの内、半分がユニバーサル映画、もう半分がそれ以外の会社の映画を基にしているということがわかりました。
そしてUSJにユニバーサル以外の映画を基にしたアトラクションがある理由は、USJがハリウッド映画のテーマパークであるから、です。
USJにあるスパイダーマンが今やディズニーのものになっているという複雑な状況もありますが、USJからスパイダーマンが権利関係でなくなってしまうということはないでしょう。
さらに、今後導入されるアトラクション等においても基本的には制限なし(あるとしたらTDRに既にあるもの、例えばインディ・ジョーンズとか←ちなみにインディ・ジョーンズはディズニー映画ではなく、パラマウント映画です。はい、ややこしい。)ということですね。
ただ個人的にはマーベル系はもう来ないんじゃないかなと勝手に考えています。
ユニバーサル映画なら『ワイルド・スピード』とか来てくれたら嬉しいですね。でも日本での認知度・映画の興行収入はあまり高くないんですよね…。
USJさん、なぜE.T.をクローズしたの…。(謎結論)
ということで、最後はなんか変な方向に話が進んでしまいましたが、USJには今後も目が離せません!(←強引)
最後までお読みいただきありがとうございました。それではまた!
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